支払い期限が迫り、通帳の残高を何度も見直しているかもしれません。焦るのは当然です。ただ、その焦りにつけ込む業者もいます。不当に高い手数料や不利な条件を避けるためにも、必ず相場を確認し、1社で決めないでください。ファクタリングは敵ではありません。冷静さが、あなたの会社を守ります。
入金はまだ先なのに、支払いの期限は容赦なく迫ってくる。
そんなとき、ファクタリングを使うべきか迷うのは当然です。
しかし、手数料はいくらかかるのか、本当に安全なのか、悪質な業者に当たらないか?
頭をよぎる不安はいくつも浮かんでくるのではないかと思います。
ファクタリングは、売掛金を早めに現金へ換える仕組みです。
資金繰りを支える手段の一つであり、それ自体が怪しい行為というわけではありません。
ただ、事実として、手数料の水準や契約内容をよく知らないまま進めると、想定以上の負担を抱えることもあります。
何を基準に判断すればよいのか分からないことが、不安を大きくしてしまうのです。
この記事では手数料の目安や仕組み、契約前に確認しておきたい点を順に整理します。
判断材料を持てば、必要な場面で落ち着いて選択できるようになります。
その手数料は高いか安いか 判断の目安とは?
提示された手数料が高いのか安いのかは、相場を知らなければ判断できません。
はじめに一般的な手数料の目安を押さえ、冷静に比較することが大切です。
ファクタリング手数料の相場目安
ファクタリングを利用する際、多くの人が気にするのは手数料です。
そこで、一般的な手数料の相場を最初に確認しましょう。
契約形態別ファクタリングの手数料相場一覧表
| 契約形態 | 手数料の目安 |
|---|---|
| 2者間ファクタリング | 約8~18% |
| 3者間ファクタリング | 約2~9% |
| ※実際の手数料は、売掛先の信用力や売掛金額、契約内容などによって幅があります。 ※一覧表の情報は当社調べによるものです。 | |
上記の一覧表からわかるように、一般的には3者間より2者間の方が手数料が高めに設定される傾向がみられます。
その理由については後ほど詳しく解説します。
ファクタリング業者が手数料率を決める主な指標
ファクタリングの手数料は、ペイトナーやオルタなど、一定の手数料が適用されるファクタリング業者を除いて、契約ごとに適用される手数料率が決められます。
ここでは、ファクタリング業者が手数料率を決める主だった4つの指標を紹介します。
①【契約形態】2者間か3者間か?
ファクタリングには2者間ファクタリングと3者間ファクタリングという2種類の契約形態があります。
以下に、それぞれの契約形態の概要を説明します。
- 2者間ファクタリング
-
「①利用者」と「②ファクタリング業者」の2者でファクタリング契約をします。
利用者は売掛先から入金をされ次第、ファクタリング業者に支払いをします(※代理受領委任契約) - 3者間ファクタリング
-
「①利用者」と「②ファクタリング業者」と「③売掛先」の3者でファクタリング契約をします。
対象債権は、売掛先からファクタリング業者に直接入金されます。
代理委任契約とは、2者間ファクタリングの際に同時に締結されることが一般的です。
ファクタリング契約時点で、買取対象債権の所有者はファクタリング業者ですが、2者間ファクタリングの性質上、売掛先は契約時点でファクタリング契約の存在を認知できないため、利用者が売掛金を代理で受領してファクタリング業者に支払うという契約内容になっています。
2者間か3者間の違いによって、ファクタリング会社が負う回収リスクや手続きの流れが変わります。
その結果、提示される手数料は以下のようにに変わってきます。
2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの比較
| 項目 | 2者間ファクタリング | 3者間ファクタリング |
|---|---|---|
| 契約当事者 | 利用者+ファクタリング会社 | 利用者+ファクタリング会社+売掛先 |
| 売掛先への通知 | 原則不要 | 必要 |
| 売掛金の支払先 | 売掛先→利用者→ファクタリング会社 | 売掛先→ファクタリング会社 |
| ファクタリング業者の回収リスク | 比較的高い | 比較的低い |
| ファクタリング手数料 | 高い傾向 | 安い傾向 |
2者間ファクタリングは、売掛先に知られずに資金化できるというメリットがありますが、売掛金が一度利用者を経由するため、ファクタリング会社にとっては回収リスクが高くなります。その分、手数料は高めです。
一方、3社間ファクタリングは売掛先の承諾を得たうえで契約を行い、売掛金は売掛先から直接ファクタリング会社へ支払われます。回収のリスクが低いため、手数料は比較的安く抑えられるのが一般的です。
②【対象債権の価値】売掛先の信用力
2つ目の理由は、売掛先の信用力です。
ファクタリングは債権を売買する契約です。
そのため、車屋貴金属と同様に債権自体の価値を査定して手数料率を決定します。
その債権価値を直接的に左右するのが売掛先の信用度です。
売掛先の事業規模・社会的な地位
たとえば、上場企業や長年安定して取引している企業が売掛先の場合、回収リスクは低いと判断されて手数料が安くなる傾向にあります。一方で、設立間もない企業や業績が不安定な企業が売掛先の場合は、回収リスクが高いと見られ手数料が高くなる傾向にあります。
また、ファクタリング業者によっては、独自の与信チェックツールなどから売掛先の経営状態(売上額や主要取引先や不祥事の有無など)を確認して信用調査をしたうえで手数料率を算出している場合があります。
つまり、同じ金額の売掛金でも「誰が支払うのか」によって手数料は大きく変わるのです
個人、もしくは、個人事業主が売掛先の債権は、ファクタリングで審査落ちするケースが非常に多いです。
この要因は一概にはいえませんが、多くの場合、「売掛先の信用度」が影響している場合が多いです。
売掛先との取引実態・取引状況
利用者と売掛先の取引実態も手数料率に影響します。
これらは、ファクタリングの審査時に、電話やメールで質問される場合もありますが、主に、請求書と一緒に提出する「事業口座の入出金履歴」によって判断される場合が多いです。
また、事業用口座の入出金履歴にて、売掛先へ支払いが発生している場合、審査時に確認されることが多くあります。
これは、売掛先からの借入れなどが支払事由なのではないか?…という理由もあります。
このように、売掛先と利用者が、良好な取引実態があるかどうかも手数料に影響してきます。
③【対象額面】買取対象金額の大小
ファクタリング業者ごとに考え方が変わるので一概に言えませんが、買取額面が大きいほど手数料は安くなる傾向にあります。
例えば、同じ請求書で買取申請した場合でも、200万円の買取りでは10%と査定されるが、10倍の2,000万円の買取りでは手数料が5%と安くなるようなこともあります。
つまりは、より大きな金額を買取り申請した方が手数料を安くできる可能性が高いといえます。
しかし、不必要に大きな金額でファクタリングをすることは最終的に負担する手数料が増えてしまう場合もあります。
下記にて、具体的な例を挙げて説明します。
A) 200万円の債権を、手数料10%で売却した場合、手数料額は20万円。
B) 2,000万円の債権を、手数料5%で売却した場合、手数料額は100万円です。
※上記のとおり、「B」は手数料率は半分(5%)ですが、手数料額は5倍(100万円)です。
手数料率は低いほうが良いですが、不必要な金額を調達するのは、後々の手数料負担を増やしてしまいますのでご注意下さい。
④【利用者の信用度】利用回数と利用状況
利用者自身の過去の利用実績も手数料を決める要素の一つです。
同じファクタリング会社を継続して利用し、これまでの取引で期日どおりに問題なく入金が行われていれば、利用者に対する評価は高まります。
やり取りの履歴が蓄積されることで審査もスムーズになり、料率の見直しにつながることがあります。
一方、初めての利用では情報が少ないため、会社側は慎重です。
継続利用によって信頼関係が築くことで、手数料率の改善につながる可能性があります。
ファクタリング手数料を安くする方法
手数料は仕組みを理解し、条件を工夫することで抑えられる可能性があります。
ここでは、手数料を抑えるための5つの方法を紹介します。
信用力が高い売掛債権を売却する
手数料を少しでも抑えたいなら、どの売掛債権を出すかを見直すべきです。
優先順位を考えずに売却するのではなく、支払いが安定している取引先の債権を選びます。
信用度が高い企業であれば、回収の見通しが立ちやすく、その分手数料を下げやすくなります。
3者間ファクタリングを検討する
売掛先の了解を得られるなら、3者間ファクタリングも視野に入ります。
売掛先の承諾を得て契約を結び、売掛金は売掛先から直接ファクタリング会社へ支払われます。
回収の流れが明確になるため、ファクタリング会社の負担するリスクは小さくなり、その分、手数料も下がりやすくなります。
まとまった金額の売掛金を売却する
まとまった金額の売掛金を売却することでも手数料を抑えられます。
「必要な分だけ小分けにして現金化したい」と考えるのは自然なことです。
手元資金を見ながら少しずつ利用したいという気持ちはよく分かります。
しかし、前述のとおり、対象となる売掛金の額面が大きい方が手数料が割安になる傾向にありますので、なるべく一回で必要資金を調達できるようにすることが重要です。
ただし、不必要に大きな金額でのファクタリングは、後々の手数料負担をかえって増やしてしまうので、事前に資金繰り計画を明確にしておくことが重要です。
継続利用で取引実績を積み重ねる
同じファクタリング会社を継続して利用することも有効です。
過去に問題なく取引が完了していれば、会社側の評価は上がります。
その結果、次回以降の条件が改善される可能性があります。
初回は慎重な設定でも、実績が増えることで信頼が積み重なり、手数料率が見直されることがあります。
複数のファクタリング会社から相見積もりをとる
手数料を少しでも抑えたいなら、1社だけで決めてしまわないことです。
ファクタリングは会社ごとに手数料率や諸費用、入金までの条件が異なります。
同じ売掛金でも、提示される内容に差が出ることは珍しくありません。
複数社から見積もりを取って並べてみると、どの条件が妥当かが見えてきます。比較することで、交渉の余地も生まれます。提示された数字をそのまま受け入れるのではなく、比べたうえで選ぶ。そのひと手間が、最終的な負担を左右します。
まとめ
支払いに追われる状況では、目の前の資金を確保することに意識が向きがちです。しかし、手数料の目安や契約形態の違い、売掛先の信用力といった判断材料を知っていれば、提示された条件が妥当かどうかを落ち着いて見極められます。入金額の内訳や登記の有無、会社情報まで確認すれば、不要な負担やトラブルも避けやすくなります。

