【現役銀行員が解説】事業承継・M&Aを有利に!ファクタリングで財務体質を綺麗に見せるテクニック

監修者:加藤隆二
この記事の監修者
加藤隆二 現役ベテラン銀行員ライター

事業承継やM&Aを成功に導くには、決算書が極めて重要な要素になります。勤続30年以上の現役銀行員が、借入金を増やさずに財務体質を「筋肉質」に改善するファクタリングの活用法と注意点をプロの視点から徹底解説します。

会社を他社へ譲渡したり、次世代の後継者へ引き継いだりする際、買収側や後継者が最も気にするのは財務の健全性です。多額の借入金に依存し、利息負担が重くのしかかっている決算書は、決して見栄えが良いものではありません。そこで少しでも企業価値を高く評価してもらい、スムーズに引き継ぎを行うためには、事前に財務の整理整頓をしておくことが不可欠です。

借入金を減らし、自己資本比率を高める決算書の見せ方

M&Aや事業承継の交渉において、決算書に記載された数値は企業の価値を決定づける最も重要な客観的データです。この章では、買収側が企業の財務のどこを評価するのかを紐解きながら、ファクタリングを活用し、いかに借入金を減らし、自己資本比率を高めるか?という課題と、具体的な手法・メリットについて詳しく解説していきます。

M&Aにおけるデューデリジェンス(DD)と財務諸表の重要性

M&Aのプロセスにおいて、買収先の企業価値を正確に把握するために必ず実施されるのが、デューデリジェンス(DueDiligence 略して「デューデリ」とも)と呼ばれる、いわば「買収するための監査」です。

デューデリジェンスでは、買収側の企業が公認会計士や弁護士など専門家を交え、対象となる企業の財務状況や法務リスクなどを詳細に調査します。私たち銀行員も、日常の融資審査において財務分析を行いますが、M&Aにおける財務DDはさらにシビアかつ精緻なものになります。

具体的には、帳簿上の売掛金や在庫が本当に回収・換金可能なのか、簿外債務は隠れていないかなどが厳しくチェックされます。したがって、M&Aの交渉テーブルへつく前には、決算書から不要な負債を減らし、スリム化しておくことが極めて重要になるのです。

ファクタリング活用による財務の「オフバランス化」

財務をスリム化し、決算書の見栄えを良くする有効な手段の一つが、資産の「オフバランス化」です。オフバランスとは、貸借対照表(バランスシート)から資産や負債を切り離し(オフ)、規模を縮小・均衡化(バランス)させることを指します。

ファクタリングは、企業が保有する売掛金(売掛債権)を期日前にファクタリング会社に売却して現金化する資金調達手法です。

ファクタリングを利用すれば、貸借対照表から売掛債務という資産勘定を減らし、同時に現金を獲得することが可能になるのです。そしてファクタリングで得られた現金を用いて、銀行などからの既存の借入金を返済すれば、総資産と負債を同時に減らすことも可能になります。

売掛債権の現金化がもたらす「筋肉質な決算書」への転換

商取引において、売上計上から代金振り込みまでには、通常で1ヶ月から数ヶ月のタイムラグ(支払いサイト)が存在します。この期間は、帳簿では利益が出ているのに手元に現金が無いという、いわゆる「勘定合って銭足らず」の状態に陥りやすく、その間の運転資金や仕入資金を銀行からの短期借入で賄っている企業も珍しくありません。

しかし、ファクタリングを利用して期日前の売掛債権を現金化すれば、この支払いサイトのタイムラグを埋めることができます。
つまり、銀行から新たな借入を起こすことなく、手元の流動性(キャッシュ)を高めることができるのです。

会社の決算やM&Aにおいて、現預金が豊富にあり、かつ借入金が圧縮されている決算書を作成することは、企業価値を最大化するための正当な財務戦略と言えます。もちろん、ファクタリングの利用自体がデューデリジェンスに直接寄与するわけではありません。

しかしファクタリング利用の結果として「借入依存度が低い」という財務の事実を作り出す論法としては十分に成り立ちます。

事業承継やM&Aを見据え、戦略的な「ここぞ!」というタイミングでのファクタリング活用が、筋肉質な決算書への転換には求められます。

ファクタリング活用で、借入を増やさず円滑な運転資金をキープする〜そのメリットと注意点

前章では財務諸表の見栄えを良くするためのテクニックを解説しましたが、ここからは資金調達手段としてのファクタリングの本質に迫りたいと思います。

銀行融資との違い〜借金(負債)を増やさない資金調達の仕組み

事業資金の調達というと、やはり最初に思い浮かべるのは銀行の事業資金融資でしょう。
しかし、融資は貸借対照表上の「負債」を確実に増加させます。さらに、毎月の元本返済と利息の支払い義務が長期にわたって生じるため、将来のキャッシュフローを圧迫する要因ともなります。

一方、ファクタリングは売掛債権を売却する資金調達方法(債権譲渡)で、借金(融資・負債)ではありません。そのため、融資とは違って、貸借対照表上の負債は増加しません。

また審査の基準も異なります。
銀行融資では決算書に基づく業績(赤字や債務超過がないか等)が厳しく問われますが、ファクタリングでは売掛債権の買い取りという性質上、自社よりも売掛先(取引先)の支払い能力や信用力が、より重視されます。そのため赤字であっても、売掛先が優良企業であれば資金調達できる可能性が高まります。

事業承継やM&Aを控えたデリケートな時期では、資金需要が発生した際にも負債を増やさず急場をしのぐ手段として、ファクタリングは理にかなった選択肢だと、銀行員の私は考えます。

健全な経営状態を目指す上でのファクタリングの正しい位置づけ

銀行員として企業の盛衰を見てきた私の経験からあえて厳しいことを申し上げますと

ファクタリングは社会的にも認められた有効な資金調達手段ではありますが、ファクアリングを使わずに経営できることが健全な経営状態である」と考えています。

ファクタリングは審査が早く、負債も増えない便利な資金調達手段です。
しかしながら手数料は一般的な銀行融資の金利と比較すると割高です。

もし、毎月のようにファクタリングを利用しなければ運転資金が回らない状態に陥っているのであれば、それは本業の利益構造や資金繰りの根本的な見直しが必要なサインです。

恒常的なファクタリング利用は企業の利益を確実に圧迫し、長期的には体力を奪ってしまいます。

したがって、ファクタリングはあくまで突発的な資金不足を補う一時的なつなぎ資金や、今回のテーマであるM&A・事業承継に向けた戦略的な財務改善(オフバランス化)といった、明確な目的を持ったスポット的な利用にとどめるべきであることを、しっかりと認識していただきたいと思います。

まとめ

ここまでの解説で、M&Aや事業承継における決算書の見栄えの重要性と、借入を増やさないファクタリングの仕組みについてご理解いただけたかと思います。

事業を第三者に譲渡するM&Aや、後継者に引き継ぐ事業承継において、決算書の数値は企業価値に直結します。多額の借入金は評価を下げる大きな要因となりますが、ファクタリングを活用して売掛債権を早期に現金化し、有利子負債を圧縮することで、自己資本比率が高くROAに優れた「筋肉質な会社」に見せることが可能です。

ファクタリングは正規の資金調達手段であり、透明性の高い優良な業者を正しく選定できれば、経営の大きな助けとなることは間違いありません。 一部の悪質業者にはくれぐれも注意し、ファクサーチで紹介しているような優良業者を見極めた上で、事業承継やM&Aという企業の大きな転換期において、財務体質を戦略的に改善する有効な一手として、ファクタリングのスポット的な利用を検討してみてはいかがでしょうか。