個人事業主はファクタリングできる?審査・手数料・必要書類を解説

監修者:木彫りグマ
この記事の監修者
木彫りグマ FP2級

個人事業主でもファクタリングはできるのか?そんな不安を解消するために徹底的に解説いたします

納品は終わっている。請求書も出した。
それなのに、口座にお金が入るのは来月、あるいは再来月──。
個人事業主にとっていちばん苦しいのは、「仕事は回っているのに、手元に現金がない」この瞬間かもしれません。

外注費や仕入れ、税金、生活費。支払いは待ってくれないのに、入金だけが先延ばしになる。
このタイムラグが、資金繰りを一気に不安定にします。

そんな状況で「ファクタリング」という言葉を目にしたものの、
個人事業主でも使えるのか?
審査は厳しいのか?
手数料で損しないのか?

──不安が先に立って、調べる手が止まっていませんか。

この記事では、個人事業主がファクタリングを現実的な選択肢として検討できるのかを軸に、審査の見られ方、手数料の考え方、必要書類、そして断られてしまう理由まで踏み込んで解説します。 「資金繰りが苦しいときに、知らなかったせいで選択肢を狭めない」ための情報を、順を追って整理していきます。

個人事業主でもファクタリングは利用可能?結論と注意点

結論から言えば、個人事業主でもファクタリングは利用できます
ただし、誰でも無条件に使えるわけではありません。
借入との違いや合法性を正しく理解し、売掛先の信用力が審査に影響する点を押さえておく必要があります。

売掛金の買取は合法|ファクタリングは借入ではない

ファクタリングとは、まだ入金されていないお金(売掛金)を、先に現金に変える仕組みです。
これはお金を借りる行為ではなく、「将来もらえるお金を売る」取引なので、違法な貸し付けを装った業者を除けば合法です。

たとえば、月末に100万円が入ってくる予定の仕事があるけれど、今すぐ50万円の支払いが必要だとします。そのとき、その100万円をファクタリング会社に90万円で売れば、先に90万円を受け取れます。

この場合、90万円を借りたわけではないので、借金の返済ではなく売掛金の清算となります。
差額の10万円が、早く現金を受け取るための手数料としてファクタリング会社に支払われるのです。
つまりファクタリングは、「借金をせずに、今すぐ使えるお金を用意する方法」だと考えるとわかりやすいでしょう。

売掛先の信用力が低いと利用できないケースもある

ファクタリングは、売掛先の信用が低いと判断されると、利用できないことがあります。
その理由はファクタリングの仕組みにあります。

ファクタリングにおいては、「あとでちゃんとお金が支払われるかどうか」を重要視します。
そのため、利用する本人・会社よりも、売掛先が約束どおりに支払える相手かを見るのです。
もし支払いが不安だと判断されると利用できません。
信用力が低いと判断されやすいのは以下のケースです。

  • できたばかりで、実績がほとんどない会社が売掛先
  • これまでに支払いが遅れたことがある取引先
  • 赤字続きや資金繰り悪化が噂されている企業
  • 契約内容があいまいで、本当に仕事をしたか分かりにくい請求書
  • 友人や知人など、仕事の実態を確認しにくい相手との取引

まずは実績や信用のある取引先の売掛金を選んでファクタリング会社に買取申請することが重要だといえます。

個人事業主が失敗しないために確認すべき4つのポイント

ファクタリングは手軽に見えて、内容を理解せずに選ぶと資金繰りを悪化させることもあります。
個人事業主が後悔しないためには、契約前にいくつかの重要な点を確認しておくことが欠かせません。

  • 入金までにどれくらい時間がかかるか、即日対応は可能か
  • 審査では何が見られるのか、自分の状況で通過できそうか
  • 少額の売掛金でも買い取ってもらえるか
  • 2者間・3者間などの種類の違い

これらを押さえておくことで、自分に合わないサービスを選ぶリスクを減らせます。

入金までのスピード|即日対応できるか

個人事業主は、会社に比べて手元にあるお金が少ないことが多く、お金がいつ入ってくるかはとても大切です。
支払いが迫っている場面では、数日待つだけでも困ってしまうことがあります。
そのため、できるだけ早く、可能であれば「即日入金」されるのが理想です。

ただし、「即日対応」と書かれていても、必ず当日中にお金が入るとは限りません。
必要な書類がそろっているか、手続きにどれくらい時間がかかるかなど、即日入金の条件があるからです。
申し込む前に、本当に即日入金できるのか、その条件は何かをきちんと調べておくことが大切です。

ファクタリングの審査基準|何がチェックされるのか

ファクタリングの審査では、「この請求書のお金が、あとできちんと支払われるか」が確認されます。
銀行の融資のように、利用する人の収入や借金の有無を見るのではなく、売掛金そのものの安全性がポイントです

ファクタリングの主な審査基準

  • 売掛先(お金を払う相手)の信用力
  • 請求書の内容が正しいか
  • 売掛先との取引実績
  • 支払い日までの期間
  • 書類に不備や矛盾がないか

最重要視されるのが、約束通りにお金が支払われるかという点です。
経営が安定していて、支払い実績のある会社ほど信用されやすくなります。
請求書の内容も重要です。内容が具体的で、本当に仕事をしたことが分かるかもチェックされます。

加えて、取引回数や支払日までの期間もチェック対象です。
取引回数が多く、支払日までの期間が短い請求書ほど信用度が高くなります。
もちろん、書類に不備・矛盾がない請求書が望ましいことはいうまでもありません。

少額の売掛金でも買取に対応しているか

個人事業を営んでいると、取引額が小さいことも珍しくありません。
だからこそ、ファクタリングを考えるときは、少額の請求書でも買取可能か?を確認しておくことが大切です。

こうした事業者がお金に困る場面は、「大きな資金が一気に必要」というより、「家賃や仕入れ代を払うために、今すぐ少し足りない」というケースが大半です。
最近では、1万円台から対応しているサービスもあり、こうした小口の資金不足を補う手段として使われています。

ただし注意点もあります。
金額が少額であるほど手数料の割合が高くなることが多く、思ったより手元に残らないことがあるからです。

「いくらから使えるのか」「実際に受け取れる金額はいくらか」を事前に確かめておかないと、かえって損をしてしまうこともあります。無理なく使える条件かどうかを見極めることが重要です。

ファクタリングの種類|2者間・3者間の違い

ファクタリングを使う前に、2者間と3者間という2つのやり方があることを知っておくことが大切です。
違いを知らないまま選んでしまうと、「こんなはずじゃなかった」と後で困ることがあります。

例えば、3者間ファクタリングでは、取引先にもファクタリングを使うことを伝えて同意してもらう必要があります。
もし相手がそれをよく思わなかった場合、これからの仕事に影響が出てしまうかもしれません。また、やり方によっては、お金が入るまでの早さや、差し引かれる手数料も変わります。

このようなトラブルを避けるためにも、種類の違いを理解しておくことが重要です。2者間と3者間の詳しい違いについては、次のパートで説明します。

2者間ファクタリング|スピード重視・取引先に知られにくい

2者間ファクタリングは、個人事業主とファクタリング会社の2者で契約を取り交わす方法です。
仕事の相手である取引先は契約に関わらないため、ファクタリングを使ったことが基本的に知られません。
そのため、「資金繰りのことを取引先に知られたくない」という人に向いています。

この方法の一番のメリットは、お金が入るまでがとても早いことです。
取引先の承諾がいらないので、手続きが少なく、早ければその日のうちに現金を受け取れます。

家賃や仕入れ代など、急な支払いがあるときに助けになる仕組みです。
ただし、早く現金化できる分、手数料は高めになることが多く、売上から差し引かれる金額は大きくなりがちです。
スピードを優先したい場面で使う方法だと考えると、分かりやすいでしょう。

3者間ファクタリング|手数料を抑えやすいが時間がかかる

3者間ファクタリングは、個人事業主・ファクタリング会社・取引先の3者が契約を取り交わす方法です。
この場合、取引先もファクタリングを使うことを知ったうえで、売掛金をファクタリング会社に直接支払います。

この方法の利点は、手数料が比較的低くなる傾向があることです。
ファクタリング会社は、取引先から直接お金を回収できるため、回収できないリスクが小さくなります。
その分、差し引かれる金額を抑えやすく、できるだけコストを減らしたい人に向いています。

ただし、利用するには取引先の同意が必要です。
説明や手続きに時間がかかるため、お金が入るまでに数日から1週間以上かかることもあります。
急ぎの支払いがある場合には不向きです。

時間に余裕があり、取引先との関係が安定している場合に選ばれやすい方法です。

個人事業主がファクタリングで求められる主な必要書類

ファクタリングを利用する際には、「本当に存在する売掛金か」「事業として正しく取引しているか」を確認するため、いくつかの書類提出が求められます。事前に準備しておくと、審査や入金までがスムーズになります。

主な必要書類 ※ファクタリング会社によって異なります

書類名主な目的・確認内容
本人確認書類運転免許証
マイナンバーカード
パスポート など
売掛金を確認する書類請求書、注文書など
取引内容を証明する書類契約書
発注書
納品書
取引実績がわかる書類通帳のコピー
銀行口座の入出金記録
事業実態を確認する書類確定申告書
開業届(必要に応じて)

本人確認書類は、「この人が本当に申し込んでいる本人か」を確かめるための書類です。
請求書は必須で、いくらもらえる予定なのか、いつ支払われるのかがはっきり書かれていることが大切です。

契約書や納品書は、「本当に仕事をした」という証拠として提出を求められる場合があります。
さらに、通帳の明細は、これまできちんと取引が続いているかを見るために使われます。

確定申告書などは、個人で仕事をしている事業者であるかを確認するために提出を求められることがあります。

個人事業主は何故ファクタリングを断られてしまうのか?

個人事業主がファクタリングを断られる理由の一つは、「この請求書のお金は、本当にあとで入ってくるのか?」と不安に思われるからです。
ファクタリングはお金を借りる仕組みではなく、あとでもらえる予定のお金を先に買い取ってもらう方法です。
そのため、「確実に回収できるかどうか」が何より重視されます。

たとえ自分にやる気があっても、取引先の信用が弱かったり、これまでの取引が少なかったりすると、リスクが高いと判断されることがあります。
また、請求書の内容が分かりにくい、仕事をした証拠が足りない、支払日がずっと先といった点も、断られる原因になります。
さらに、税金の支払いが遅れていたり、書類にミスがある場合も注意が必要です。

審査が不安な個人事業主向け|通過率を高める3つのコツ

ファクタリングは、少しの工夫で審査に通りやすくなることがあります。
何も知らずに申し込むと不安が先に立ちますが、ポイントを押さえれば通過率を高めることは可能です。
ここでは、審査が心配な個人事業主が意識したいコツを紹介します。

信用力の高い売掛先の請求書を提出する

審査に通りやすくするには、信用力が高くきちんとお金を払ってくれそうな相手の請求書を出すことが大切です。
ファクタリング会社は、「この請求書のお金は、本当にあとで入ってくるのか」を一番気にしています。
相手が信用できるほど、安心して買い取れるからです。

たとえば、大きな会社や何度も取引していて毎回きちんと支払ってくれる相手の請求書は、安心だと判断されやすくなります。
反対に、取引が少ない相手や経営が不安そうな相手だと、慎重に見られます。
複数の請求書があるなら、条件の良いものを選びましょう。

まずは少額のファクタリングから利用する

はじめてファクタリングを利用する場合は、いきなり大きな金額を申し込まないことがポイントです。
少額すぎると対象外になることもありますが、10万円〜50万円ほどの売掛金に対応している会社もあります。
こうした会社は、個人事業主や小規模な仕事をしている人の利用を想定しているため、比較的申し込みやすい傾向があります。
ただし、確実に審査に通るわけではないため注意しましょう。

問い合わせ・書類提出などの対応は迅速に行う

ファクタリングの審査では、対応の早さも大切な判断材料になります。
問い合わせへの返事が遅れたり、必要な書類の提出に時間がかかったりすると、「取引がスムーズに進まないかもしれない」と不安に思われてしまいます。

特に個人事業主の場合、やり取りの一つひとつが信用の判断につながりやすい点に注意が必要です。
また、対応が遅いと審査自体が後回しになり、入金までの時間も延びてしまいます。

反対に、質問への回答や書類提出を素早く行うことで、「きちんと準備ができている」「信頼できる」と好印象を持ってもらいやすくなります。
必要書類は事前にそろえ、連絡が来たら早めに対応することが、通過率を高めるコツです。

まとめ|個人事業主がファクタリングを安全に活用するために

ファクタリングは、売掛金を早めに現金化するための適法な資金調達手段であり、個人事業主でも利用できます。
借金ではないため返済義務や利息はなく、入金待ちによる資金繰りの不安を和らげる選択肢になります。
ただし、誰でも必ず使えるわけではなく、売掛先の信用力や請求書の内容によっては審査に通らないこともあります。

一方で、審査を通しやすくするコツがあるのも事実です。
信用力の高い取引先の請求書を選ぶ、まずは少額から利用する、問い合わせや書類提出を素早く行うなど、ポイントを押さえることで通過率を高めやすくなります。

仕組みを正しく理解し、自分の状況に合った使い方をすれば、ファクタリングは個人事業主にとって心強い資金繰りの手段となりますので、ここまでで解説した内容を踏まえてファクタリングをご活用下さい。